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第17章の29(←直人のメンバー愛に癒される諒)

 恐縮することしきりの直人が言うには、       諒を追いかけて同じタクシーに乗るつもりが間に合わなかったので、       次のクルマを捕まえたのだという。       諒はありがたくは思っても、怒る気になどなれなかった。       だから、       「キングオブ俺の追っかけ、だね。」       と久しぶりに楽しくなって、最上階のバーで一杯おごる、と肩を抱き寄せた。       しかし直人は、       「いいの? 諒、ここで誰かと泊まってるんじゃないの? 」     「んもー、まさか…ウソだと思ったら後から部屋見せるよ。     バリバリのシングルだよ。」       それを聞いて直人はほっとした表情を浮かべた。      …低いがなかなかきれいな夜景を眺めるカウンター席で、     諒と直人は窓に向かって隣り合って座り、ビールを飲んだ。      「ごめんね、遅いのに引き留めちゃって…」     諒の方から口火を切った。     「いや、俺の方こそ、こそこそと押しかけちゃって…     これ一杯で帰るから…」     いやいや…と諒が言ったところで、また二人は沈黙になってしまった。     すると直人が選んだ前フリらしい話題は…     「そういえば諒、三浦ちゃんどうなのよ? 」 「どう、ってのは? 」 諒は動揺を隠しながら尋ね返した。

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