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第17章の44

「もしもし…」 「須藤ですけど、諒さんは今どこにいるんですか…? 」 諒は一瞬答えにつまったが、まあ明日は何としても家に入れてもらうことだし、 と、正直にホテル住まいだということと、ホテルの名前と大体の場所を伝えた。 「えっ、そんな便利なところに新しいホテルが? 」 「直人から聞いてなかった? 直人は昨日遊びに来てくれたんだよ。」 それを聞いて須藤はほっとしたようだったが、こんなことを言ってきた。 「…じゃあ、これからそっちへ行ってもいいですか? 」 「えっ…? 」 驚いて諒は思わず大声を出してしまったが、須藤は厳しい口調で、 「それとも誰かと一緒なんですか? 」 なーんだ、本題はそれか、と諒は安心して、 「ううん。部屋もシングルだし…」 そこで諒は反撃を思いついた。 「そうだ、須藤さん、早く来て。諒子、さ・び・し・い♪ 」 「嫌ですよ! 諒子ちゃんはっ! 」 作戦成功。即座の却下。 須藤が本当に嫌そうな声を出すので、諒は勝ち誇って笑いながら、 「須藤さんが来たいって言ったんじゃん。」

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