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第17章の50
「テレビとかラジオでチャート第1位に触れられたら、
どんなコメントがいいんだろうねえ…」
珍しく真樹がいち早くそんなことを気にしている。
諒にも嬉しさはじわじわとこみあげてきている。
少し平静を取り戻してきたらしい直人が、
「まあ、満面の笑顔、が無難だろうけど…
今回は、諒は真面目な受け答えがいいんじゃない?
いつものおちゃらけは封印して。」
「なるへそ。」
「ほらぁ、諒、それはダメだったら!
で、麻也さんは無言でいいから極上の笑顔担当で、
真樹にーちゃんはカメラに向かって豪快な感じの笑顔で、
俺は…」
「いつものクールな優等生にしなよ。」
「諒が暴走しかけたら止める、ってヤツ。」
諒と真樹が代わる代わる言うと、
それまで発言のなかった麻也が書類に目を落としたまま、
ウエーブの黒髪にやや隠れた愛らしい横顔で、
「なるへそ…じゃあ、俺はラジオの時は無言で笑顔、っと…
テレビはどうしようかな…」
「兄貴、話聞いてる? 」
真樹がにらみつけると、顔をあげた麻也はびっくりして、
「うん。どうしたの? 」
みんながずっこける中、真樹は諒に困った視線をくれる。
諒は、本人ではないけれど、真樹に目でようやく本心を伝えられる。
俺は…天然で天才で天使な彼がやっぱり好きなんです…
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