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第17章の51

 そんなわけで打ち合わせもそこそこに、 マネージャーたちが押さえた事務所の近所の居酒屋でごく少数の宴会…だったのだが、  1位のお祝いと知った大将のおごりで、豪華な舟盛りのお造りは出てくるわ、 伊勢エビの焼き物はでてくるわ、 デザートのミニパフェもマスカット入りだわと、 みんなを盛り上げてくれる…  今度は真樹の発声で、元気よく乾杯はしたのだが…  麻也と諒が離れて座り、となれば宴会になってもまだ冷戦が終結していないのは明らかなので、 場の雰囲気はおとなしいものになっていた… というか、諒がまったくしゃべることができなくなっていたので、 料理が進んでも静かだったというべきか… すると直人がやってきて諒の耳元でささやく。 「諒、もう、仕方ないから、お手紙にしたら。俺が麻也さんに渡してくるよ。」 「え? どういうこと? 」 「もう口もきけないんでしょ? メールも打てないんでしょ? なら俺が手伝うよ。」 「えーっ、でも、何て書けば…」 アルバム・シングルチャート日本一のロックスターが、 バンドメンバーでもある同棲相手を目の前にして、 何を女子中学生のようにためらっているのか自分でも情けなくなってしまうが… 直人は相変わらず親切に、 「愛してるから家に入れて、とかでいいんじゃない? あくまできっかけだから…」 「直人ってば優しい…絶対にいいことあるよ…」 と、諒がシステム手帳とペンを探してバッグに手を突っ込むと、 上機嫌の社長の大声が飛んできた。 「なに? ミリオン?! 東京ドーム?!…」

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