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第17章の52(←麻也王子の横顔に惚れ直す諒)
そして今度は全員に向けて、
「おーい、みんな聞いたかあ~?
次のリリースでミリオン取れた時と、東京ドームが決まった時は、
麻也のおごりでこんな宴会やってくれるってさ~」
「言ってません、てばっ! 」
と、社長の腕を軽く叩く麻也は、少し酔ってきたらしく色っぽくて、
その少し染まった頬は、また諒を誘う…
しかし、<ミリオン>と言う言葉には、諒は複雑な思いにさせられる。
確かに今回の<1位>は2タイトル同時という快挙なのは言うまでもないが、
<ミリオンセラー>…100万枚ではなかった。
他のジャンルとはいえ、音楽業界ではダブルミリオンまで出現していたこの時期、
発売が1週ずれていたら1位は獲れていなかったかもしれない。
実際、ディスグラの売り上げは90万枚が最高だったからだ。
その理由はファンレターの内容や、ファンクラブの会員数を須藤たちから聞いた時、
メンバーには何となくわかっていた。
ディスグラのファンは確かにかなり増えているのだが、
その一方で離れていく古参のファンも少なからずいるということだった。
<初期の妖しさがなくなってしまって残念です>
<そんなに音楽性変えても売れたいですか? 失望しました…>
そんな話が思い出された…諒はまた社長の上機嫌な大声で我に返った…
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