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第17章の55(←振り向いてくれない麻也王子)
メジャーデビューが決まった時、社長に連れられて、
何組かの先輩アーティストに挨拶に行ったし、
メンバーの人脈も広がってはいたのだが、
さすがに西園寺クラスの大物まではたどり着けてはいなかったのだ。
どうにか真樹が、
「あ、兄貴は会ったことある? 西園寺さん…?」
途端に麻也の表情はの表情は曇り、
「いや…西園寺さんも付き合う事務所は選ぶでしょ…」
諒が黙っているのが不自然と思ったらしく、直人はが遠慮がちに、
「でも俳優なら諒だよね…」
「いやいや。それにあんな大御所の指名なんてミラクルに近いじゃん。
せっかくだから受けなよ。俺たちの未来も広がるし…」
みんなが拍手をすると直人は元気を取り戻し、笑顔で、
「わかった。頑張ってくる。」
それでこそ直人だよ…みんなが口々に言う中で、特に麻也は優しく、
「自然体で…ね? 」
と小首を傾げて微笑む。
直人は嬉しそうにうなずいたが、
その、直人に向けられた麻也の可愛らしさが何だか諒には妬けた…
直人の仕事も増え、ますますもってスケジュールが忙しくなるのがわかったので、
この日は一次会だけでお開きになった…
…しかし諒は、今日も麻也に仕事以外で一言も話せてはいない…
が、麻也は振り向いてもくれない…
そしてそのまま一人でタクシーに乗って行ってしまった…
鈴木と伊豆は社長につかまっていて動けず、そうでない連中は携帯で電話中…
そんな中、諒は1人で、服部が拾ったタクシーに乗せられてしまった…
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