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第17章の56(←麻也王子の元へ急ぐ諒)
仕方なく、諒はまたホテルに帰ることにしたが…
夜の車窓に目をやりながら、
(俺、今日、日本一になったんだよ…
それなのに…そりゃお祝いはしたけどさ…)
明日になればあちこちから祝福されるだろうが…
別にフラッシュの雨あられが欲しいわけじゃないけれど…
(最高の夜のはずなのに…)
虚しいという言葉は避けたかった…
真新しくてきれいな、いつもの部屋には一応入ったが…
何だか落ち着かない。
そして…
…ソファーに腰掛けてもたれかかるなり、
「やっぱ、俺、帰る! 」
一人の部屋で叫ぶと諒は勢いよく立ち上がった。
(今度のツアーまでは一緒にいて、って言い出したのは麻也さんの方だし)
その言葉にすがって諒は2人のマンションに向かって走った
2人だけのお祝いに、といつものコンビニで二人の好きなエクレアと、
今夜はアルコールはまずいだろうとジンジャエールを買った。
…もう寝ているような気もするけれど…
でも、ラッキーなことに、見上げた部屋の明かりはついていた。
(あの明かりが消えないうちに部屋に突入しちゃおう。締め出されたらイヤだ…)
それでエントランスのインターホンも鳴らさず、突撃することにした。
鍵を変えてあるかも、とか、誰かを引きずり込んでいるかも、
とかそういうマイナスなことは考えなかった…
久しぶりの我が家は、鍵を開けるのももどかしく、
幸いにもドアガードもかかっていなかったのでそっと入ることができた。
玄関に入ってみるとリビングから暗い廊下には明かりがもれていたが、
物音はしなかった。何となくまやはソファで力尽きて寝ているのでは、という気が諒にはした…
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