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第17章の57(←麻也王子を抱きしめる諒)

 玄関に上がった諒はそっとリビングのドアを開ける… と、案の定、麻也はソファーに仰向けに転がっていた… 白のバスローブのまま軽い寝息をたてて…    諒は急いで歩み寄ると、麻也の脇にひざまずくように座った。 どうしていいかわからず、 でも、いつものようにキスしたりするのは違う気がして...ただ愛しく、 その寝顔を眺め… ているうちに、その寝顔がやや苦しそうなのに気づいて、 すまない気持ちでいっぱいになった。 諒は困って、でもせめて麻也のほおに手をのばそうとしたところで、 麻也の目がゆっくりと開いた。 「...諒...?」 「はい…」 諒はそう答えるのがやっとだった.... すると、麻也は優しく笑いかけてきて、諒に腕をまわしてきた。 そして、力をこめてくれた・・・思わぬ展開だった。 しかし、諒も麻也の体を抱きしめようとしたところで、 麻也の腕の力が抜け、諒は驚いてあわてて抱きしめた。 「麻也さんっ!」 しかし、麻也は意外にもおだやかな笑顏で 「諒...」 しかし、麻也にもいい言葉は見つからないらしく、 困ったようにほほえむだけだ。 いきなり起こされたのだから無理もないが、 ちょっと様子が変な気もする。 そんなに飲んでいただろうか... 「麻也さん、とにかくベッドに行こう。 ここじゃ寒いでしょ。」 いつもこうしてたの?と尋ねたくなったが せっかく和解できそうなのに角が立っては、 と、諒はその言葉をのみこんだ。

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