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第17章の61(←★麻也王子の早業はキス♪)

そう心に決めた諒は、ありったけの感謝とやさしさをこめて、 麻也の目を見つめて、頬を撫でてやりながらこう言ってみた。 「麻也さん、麻也さんのおかげで俺は…日本一のロックボーカリストになれました。」 麻也はようやく明るい表情になり、でも、照れ笑いをこらえながら下を向いた。 それには構わず、諒は、 「でもまだ、世界一の麻也さんの恋人にはなりきれてないようなので、 これからもご協力、よろしくお願いします。」 麻也は満面の笑顔を浮かべた。しかし、うん、とは言ってくれなかった。 でも、電光石火の早わざで、諒の鼻にキスしてきた。 「もう、麻也さんたらっ! 」 諒も手加減せず、麻也の唇を奪い、深く求めてくぐもった声を出させたが… 「…諒っ! こんな時間なんだからっ! 」 「だからあ、この先は今夜はガマンするってば…」 と、ふざけて口を尖らせながらも、諒は 病人ぽい麻也を一晩あたためようと麻也の体を優しく抱き寄せた。 が、その麻也の体はわずかの間にやせていた。というか、力なくやつれていて、 これが続いてはいくら精神力には定評のある麻也でも、 ツアーまでもたないだろうと諒は思った。 「麻也さん、俺、いい子にするから。美味しい朝ごはんも作るから。 東京ドームに連れてってね…」 「うん。諒、頑張って一緒に行こうね…」 (麻也さん、それって、恋人同士のままで、ドームに立つってことだよ。 わかって…)  おやすみなさい、と、諒は枕もとのスイッチで明かりを消し、 また麻也を抱きしめてすぐ…眠りに落ちた…

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