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第17章の62(←麻也王子とモーニングコーヒー)
…朝、諒が目覚めると、麻也は隣にいなかった。
そういえば、ベッドから出ていく気配はかなり前に感じたような…
諒はあわてて置きあがると、上はともかくジーンズを身に着けて寝室を飛び出した。
廊下に出ると、リビングの方から、カップがカチャカチャいうような音がしたので、
不審に思いながら諒はドアを開けた。
すると、麻也はもう出かける用のシャツにジーンズで、
マグカップとインスタントのブルーマウンテンのびんを棚から出しているところだった。
「ごめん、起こしちゃった? 」
「ううん、隣に麻也さんがいなかったから、びっくりしただけ…
って、ずいぶん早かったんだね。」
時計を見て諒は驚いた。まだ8時前だ。
「諒も飲む? 服着ておいでよ…」
「あ…うん…」
思えば寝ている最中も麻也の寝返りをどこかで感じていたような…
麻也はあんまり眠れないまま仕方なく起きたのかもしれないと、
諒はちょっとかわいそうに思った。
諒が久しぶりに、我が家のクローゼットから出したシャツを着てリビングに戻ると、
麻也はソファに陣取って、諒にコーヒーをすすめてくれた。
諒は笑顔の麻也の横にぴったりとくっついてすわると、
前を向いたまま麻也の体をそっと抱き寄せ、
「じゃあコーヒーのお礼に、朝ごはん作っちゃおうかなっ! 」
「わーい、諒、ありがとう~…」
と麻也も諒の腰に手をまわしてきた。
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