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第17章の63(←麻也王子のハイタッチとチュー)

 そこで麻也はテレビのリモコンのスイッチを入れた。 「こんな時間の番組って…」 と、諒が言いかけたところで始まったのは、朝の情報番組の芸能ニュース… やれ有名俳優の結婚だ、大型アイドルグループのデビューだ…と次に現れたのは、 <ディスティニー・アンダーグラウンド、シングル、アルバム、同時1位の快挙!> 「やったあ! 」 二人はハイタッチだのチューだの喜び合った… 使われていた映像はライブ映像。 ステージ中央で熱唱する金髪の諒の左にもたれかかった麻也が、 ギターを弾きまくりながら、 恍惚とした表情で、でもすぐに目は観客を挑発しているシーンだった 「麻也たん、カッコいい…」 「あれは前も見たやつじゃん! 」 「でもカッコいいんだもん! 」 しかし、すぐに話題は別の先輩バンドのものに… 「え~あれで終わり~? 」 「いいじゃんMC がカッコいいって言ってくれたんだから。 それにメンバー全員映ったんだよ…」 麻也が諒の頭をなでなですると、諒はそっちに気を取られ、笑顔になったが… …すると、諒のバッグから携帯メールの着信音がいくつも聞こえてくる。  テーブルの上に放置されていた麻也の携帯も鳴り始め、何通もメールが来る。 みんなメールなのは、この時間に二人が起きているはずがない、 と思っているからだろう。 「母ちゃんか。…ダブルの1位おめでとう。 お父さんも大翔も大喜びしています…だってさ…」 と、麻也に読み上げながらも、諒としては麻也の方が気になってしまい、 チラチラと携帯を覗いてしまう。

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