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第1話の16

 あまりに喉が渇いていたので、麻也はキッチンにあるはずのミネラルウォーターを取りに行ったのだが…  リビングを通ると、電源を切ったままバッグのポケットに入れっぱなしになっていたはずの携帯が鳴っていて、留守電に切り替わったようだった。  どうやら目覚まし代わりに使っていた自動起動が作動して、それからは着信しているらしい。  時計を見ると、11時過ぎ。  バンドの最後のミーティングが12時からのはずだし、諒があわててかけてきているのかもしれない。  そう思って、ミネラルウォーターを飲みながら伝言と着信をチェックすると、諒からの着信は数知れず、 そして諒の「心配している」というメッセージだけで携帯本体の伝言の容量はいっぱいになっており、 あとは真樹と直人と、チーフマネージャーの須藤からも何度も着信していた。  自殺未遂の過去を持つ自分がさすがにこれはまずいだろうと、ようやく麻也も思い始め、 誰の携帯にかけるか悩んだが、ここはやっぱり諒だろう、とかけてみた。  1回のコールで諒は出た。

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