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第1章の18
女々しいヤツだと、特に諒はあきれているだろうか。
愛想をつかして、別れたいと思っているだろうか。
(でも、こんなことをしてでも、俺は休みたかったんだ…)
そのくらい、今のバンド―ディスグラ―にはすべてを賭けていた。
それが無くなってしまったら…自分には恋人の諒しか残らない。
でも、サポートメンバーでもゲストでも、これまでのような平等な立場でなければ、その諒との関係も微妙に変わってしまうだろう。
(まるで、環境の変化に対応できなくて滅びていく恐竜みたいだ…)
このまま、こんな不器用な状態でいいわけはないとは、もちろん自分でもわかっている。
でも…
一人くらいこういうヤツがいないと、バンドも成仏できない気がした。
昨夜の東京ドーム。
自分は引退する歌手がステージにマイクを残していったように、
トレードマークの、ピンクのレスポールのギターを花道の最先端に直に置いてきた。
その時の、ドームいっぱいのファンの悲鳴と怒号が忘れられない。
あの時、多分、自分はドームとバンドと心中していたと思う。
「…もう、音楽、なんて…」
麻也はそんな考えごとから逃げようと、ぎゅっと目をつぶった…
(この章終わり)
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