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第2章の5
麻也は進学を嫌がったが、ギター狂いの長男を案じた両親は「将来つぶしがきくように進学しろ」といい、
大ゲンカの末、安全圏の私大の経済学部に進学した。
このついでに車の免許も取らせてもらい、バンドの機材車も運転できるようになった。
そんな矢先に、バンドが崩壊してしまったのである。
どちらかといえばボーカルの声量に問題があったせいか、いつのころからか動員が頭打ちになっていたところに、
麻也以外の3人の作曲が行き詰まってしまった。
麻也の作る曲はまだまだだった。
すると他のメンバーはプロになる道を諦めて…ばたばたと就職を決め、バンドは解散することになった。
麻也はなすすべもなく、従うしかなかった。
そんな時に、顔見知りのレコード会社のスカウトに、
「今度ウチで、ちょっとオシャレで背徳的なバンドを作るんだけど、入らない? 」
と、誘われた。
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