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第2章の8

「大学はどうするんだ! 」 「やめて音楽に専念します。」 「事後報告とはどういうことだ! 何考えてるんだお前はっ! 」  日頃は温厚な父の平手打ちが飛び、胸ぐらを掴まれた。 真樹がどうにか割って入り、母は泣き崩れた。 「お兄ちゃんは女の子みたいに綺麗だから、汚い世界でいいようにされたら…」 堅い会社を経営している父も、 「そうだ。アイドルみたいに使い捨てされるのがオチだ!  ハタチやそこらで音楽ビジネスなんてできるかっ! 」 「やってみせます。」  そう宣言すると、麻也は席を立ち、自分の部屋に走っていくと、自分の身の回りのものをバッグに詰め始めた。  追ってきた真樹は賛成してくれていたから、 「音楽雑誌とかチェックするよ。ライブも行く。」 「ありがとう…」 何だか泣けてきたが、どうにか、 「CD出たら連絡するよ。」 「電話しづらいだろうから、電話は俺からするね。」 「うん。」 すると今度は母がやってきて…

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