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第2章の27

 社長はため息をつくと、ようやく、 「MA-YA、今後どうするよ…契約ではあと一枚アルバム作るのに…」 「はあ…」 社長も困っているのに、MA-YAに妙案があるわけもなく… 「自分のことを棚に上げるようで何ですけど、もう少しボーカルが強かったらなあ、とは…」 「やっぱりそうだよなあ…」 すると社長は意外なことを言い始めた。 「俺もいろいろと考えてはいるんだ。MITSUをすげ替える、でもそれだとそうそう代わりは見つからないから、 残りの三人には誰かのバックバンドになってもらうとか…」 「…そんな…」 MA-YAは大ショックで呆然としてしまう。 「でも、ちょっと待ってくれよ。MA-YAに関しては、違うことも考えてるんだ。『セクシュアル』は脱退して、ソロ活動をするとか。 別バンドをつくるとか。あと、これから一つビジュアル系バンドが入ってくるからそれに加入するとか…」  …とにかく、「セクシュアル」の立て直しは社長の頭の中にはないようだった。  それなのに、社長はMA-YAには三つも提案しているので喜ぶだろうと思ってか、笑顔だった。  しかし、MA-YAは予想外のことで、言葉もなかった。

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