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第2章の32
それを見て、困って立ち尽くすだけだったらしいKYOは、自分もしゃがみこみ、
「…警察とかに相談してみる? 」
「…いやだ…」
「でも、事務所じゃ話にならないだろ…」
MA-YAは泣きながら首を横に振るばかりだった。
「…じゃあ、…誰か信用できる人に…」
…といって、二人にはレコーディングスタッフくらいしか適当な心当たりはないが、
まさか彼らに話すわけにもいかず…
「じゃあ、二人で逃げよう。契約残ってたって関係ねえよ。」
「…逃げるって、どこへ…」
「お互いの実家。俺、心配だから送ってくよ。親も知恵くらい貸してくれるだろ…」
「できないよ。」
母の心配が的中してしまった今、そしてあんなことを言ってしまった手前、
どうしておめおめと帰ることができるだろう。
「KYO、心配しないで。俺は男だから…」
「…わかった。でも、思いついたことがあったらいつでも言って。
真夜中なら、たたき起こして。」
そう言って、KYOは部屋を出て行った。
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