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第18章の7(←麻也王子、応援妖精?)

「主要都市からの追っかけが行きづらい地区とか…」 ふと口をついて出た言葉に、麻也は少し後悔した。 諒が自分の前のバンドでの女出入りの噂を思い出したら… しかし諒に口を開かせないような感じで直人が 「仮にそうだとしたら、なおのことその地元のファンを開拓しないと…」 それにかぶせるように真樹が、 「…だとすれば全国ネットのテレビ? その地方でのラジオ? 」 すると直人が、 「いやあ…こんな時に香水の仕事とか、 西園寺さんのミュージックビデオとかやってるのも… だってそれが表に出るのってツアーの後でしょ?…」 と、言いだしたのには須藤が、 「でもこのツアーがゴールじゃないですから… その先のための布石も打っておかなきゃいけないですから… そんなわけで、麻也さんこそ頼みましたよっ! 」 「えっ? 何?」 麻也は驚くばかりだった。 すると今度は鈴木が、 「ほら、例の、アイドルの鈴音ちゃんと、テレビでコラボする件ですよ。」 そういやそうだったねえ、とリズム隊は納得したが、諒は案の定怒ったように、 「何それ? 聞いてないよ! 」 嫌なことは忘れるのか、知らないふりをしているのか… リズム隊がうんざりした顔をしたので、 麻也はあわてて、 「あの、その件なんだけど、諒も真樹も直人も、一緒に出演してもらえないかな? メンバーが心配なので応援に来ましたってことで。 実際その方が俺も心強いし…」 すると諒はたちまち機嫌を直し、 「ああ、それいいね~」

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