967 / 1053
第18章の7(←麻也王子、応援妖精?)
「主要都市からの追っかけが行きづらい地区とか…」
ふと口をついて出た言葉に、麻也は少し後悔した。
諒が自分の前のバンドでの女出入りの噂を思い出したら…
しかし諒に口を開かせないような感じで直人が
「仮にそうだとしたら、なおのことその地元のファンを開拓しないと…」
それにかぶせるように真樹が、
「…だとすれば全国ネットのテレビ? その地方でのラジオ? 」
すると直人が、
「いやあ…こんな時に香水の仕事とか、
西園寺さんのミュージックビデオとかやってるのも…
だってそれが表に出るのってツアーの後でしょ?…」
と、言いだしたのには須藤が、
「でもこのツアーがゴールじゃないですから…
その先のための布石も打っておかなきゃいけないですから…
そんなわけで、麻也さんこそ頼みましたよっ! 」
「えっ? 何?」
麻也は驚くばかりだった。
すると今度は鈴木が、
「ほら、例の、アイドルの鈴音ちゃんと、テレビでコラボする件ですよ。」
そういやそうだったねえ、とリズム隊は納得したが、諒は案の定怒ったように、
「何それ? 聞いてないよ! 」
嫌なことは忘れるのか、知らないふりをしているのか…
リズム隊がうんざりした顔をしたので、
麻也はあわてて、
「あの、その件なんだけど、諒も真樹も直人も、一緒に出演してもらえないかな?
メンバーが心配なので応援に来ましたってことで。
実際その方が俺も心強いし…」
すると諒はたちまち機嫌を直し、
「ああ、それいいね~」
ともだちにシェアしよう!