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第18章の8(←麻也王子、薬に悩む)
リズム隊は大人なので何事もなかったように、
「そうだね、バンドの宣伝にもなるし、ファンにも喜んでもらえそうだしね。」
「兄貴の身の潔白も証明できるしね。」
…真樹が明るく言うと、諒はふてくされたように口を結んだが、
直人も何となくそわそわしていたようなのが麻也には不思議だったが…
ミーティングが終わると麻也は表向きは、
自主トレとツアーの音決めのためにスタジオに行くと言って、
鈴木の付き添いでまたいつもの病院に行っていた。
最近では確かに二人でダブルベッドに寝ているが、
おやすみのキスのあと、素肌のまま抱き合って眠るのがやっとだった。
疲れている諒はすぐ眠りに落ちるので、
麻也が薬を飲んでも眠りが浅いことも、
何より薬を飲んでいることも気づいていないらしく、何も言わない。
…が、眠りの浅さは、諒がそばにいてくれても直らなかったわけで…
…ちょっと時間があって、諒が例のディープなマッサージをしてくれた夜はぐっすり眠れるが…
その次に効果があるのは諒が中に入ってくること…
その次が二人でミルクがけ…
体や、今頃になって心もと気づいたが…それらの奥に凝り固まったものは、
諒のぬくもりとまなざしでしかほどけない…
(…とは言っても、時間的にも、お互いのからだ的にも、
いつもやってもらうわけにもいかないし…)
そんなわけでちょっとかかりつけの内科に行ったのだが、
これ以上の薬となると…ということで、とうとう神経科に回されてしまった…
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