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第18章の9(←麻也王子、初めての神経科)

 麻也は重大な宣告を受けたように落ち込んでしまったが… しかし神経科の医師は内科と同じく40代くらいの男性で、 話しやすいタイプだったので少しほっとした。  麻也が、不眠がつらいと、ぼそっと告げると、 「…カウンセリングは、今のあなたにはつらいこともあると思うので見合わせましょう。」 つらいのか…麻也はがっかりした。 何となくカウンセリングは最後の手段で、 でも、諒にバレないなら受けたいとも思っていたのかもしれない。 「…となると私と話すことと薬での治療になります。 雑談とか質問とか相談とか何でも言ってください。」 と、医師は言ってくれるが…麻也は困ってしまって苦笑いになってしまった。 「あと、こういう不眠になる人って、ストレスが多い人が大半ですね。 会社の社長さんとか。あ、そうだ、言うの忘れてましたけど、 くれぐれも自分を責めないで下さいね。 自分の精神が弱いのが悪いとか、なんて自分は弱い人間なんだ、 とか思っちゃだめですよ。」 「はぁ...」 すると医師はやや声をひそめて、 「マネジャーさんの前では言えないけど、 さっきのお話だと、やっぱりあなたは忙し過ぎますよ。 体と心のバランスが崩れるのも当然です。 オリコン1位とかの、今のいい結果を励みに、 ペースダウンしてほしいんですがねえ...」 と、優しく言ってくれた。

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