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第18章の10(←今後の治療が不安な麻也王子)

薬の説明の方もちょっと困った。 「…この薬でも眠りが浅かったら…昼間から、というか、 朝からさらに違うタイプの薬をのんでもらうかも…」 と言いながら、医師はカレンダーに目をやって、 「こういう薬は、最低でも2週間は様子をみないといけないんですが…」 これまでの経験で、麻也も何となくそれは想像できていたのだが、 「いやぁ、昼間にクスリをのむのは... まわりにも気をつかわせちゃうと思うし... 何より...弱いヤツと思われるのも...」 「ですから、そう思ってはいけませんよ。」 「あ、そうだった...でも4月29日からは全国ツアーも始まるので…」 医師も麻也も考え込んでしまった… しかし医師は、とにかく希望を持たせなければ、と思ったらしく、 「でも、お仕事の方はとても順調ということですから、 この薬で良くなると思いますが…」 などと元気付けてはくれたけれど…  次は2週間後必ず来るように、と鈴木と二人で念を押された。  …移動の車の中では珍しく二人とも無言だった。 鈴木の方は、予想以上に麻也が悪化していて神経科に移されたことを、 どう須藤に言ったものか悩んでいるのだろうと麻也は思った。  もちろん麻也自身も困っている。 (…とにかく正常に眠りたい…) と思いながらもその一方で、仕事のことはやっぱり頭から離れない。 (…眠い頭だから、仕事増やしちゃったんだろうな…) 鈴音とコラボのテレビ…応援なんて、衣装合わせや何かの作業を増やすだけ… (でも諒をおとなしくさせるには、あれしかなかったし…)  麻也はこれからそれこそ本当に、スタジオで久しぶりの自主トレとツアーへの音の確認、 そして…

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