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第2章の35
例のギターが見当たらないので、社長は自分から近づいてマネージャーに尋ね、さらにMA-YAに答えさせようとしたらしいが、
MA-YAは2人に近づこうとはしなかった。
そこで、専務の横に戻り、いつもならリーダーのMA-YAに演奏の指示を出すところを、仕方なくKYOを手招きしたらしい。
KYOは「俺が言ってくる」とMA-YAに告げると、社長に近づいた。
指示を受けたあと、そういえば、とKYOは専務にも聞こえるように切り出した。
「例のあの高いストラトキャスター、僕がしまっておくことになりましたので、
よろしくお願いします。」
社長は驚き、それを見た専務はその意味を瞬時に察したらしく、苦々しい顔をした。
MA-YAは社長がいる方向すら嫌で見られなかった。
が、KYOのおかげで、社長を完全に拒否したことになるはずだった。
その後どうなるかわからなかったが、その時のMA-YAにはそれしかできなかった。
しかし、まだ社長の方には未練があったのか、それとも専務派が手をまわしてくれたのか、
特におとがめも嫌がらせも受けることはなかった。
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