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第2章の36
バンドも三年目近くなると、また新たなバンドが事務所に入ってきたりもする…
今度のバンドは、以前社長が言っていたビジュアル系だったが…
またルックスも音楽性もめぼしいものがないようにMA-YAには思われたが、
演奏はすごく上手かった。
追い越されたくなくて、そればかりではなく、もっといい音が出せるよう、MA-YAは練習と曲作りに励み…
つらいことは忘れるようにしていたが…まだよく悪夢にうなされ…
人に触られたり、近づかれるのは、KYO以外まったくダメになっていた。
それで、ライブでも、ボーカルやドラムにも絡めず、KYOに絡むのがやっとになっていた。
そして、ビジュアル系の方が、デビューから売り上げは好調になっていて…
そのためもあってか、スタッフ同士のいがみ合いが、メンバーとは関係のないところで始まっていた。
「こっちの方が売れてるんだから、そっちの予算まわせよ! 」
「ウチのMA-YAは社長のお墨付きなんだよ! 」
「お墨付きじゃなくて、お手付きでしょうが! 」
非難の応酬の中で、MA-YAにとって嫌な噂はあちこちに広がっていった。
しかし「セクシュアル」は本当に売れなかった。
半ばヤケになったMA-YAは、バンドのバランスが崩れそうになっても、
ライブではますますダイナミックに動くようになり、客席を盛り上げていた。
MA-YA目当てのギターキッズの男客も少しづつ増えてきたようだった。
しかしCD売上はさっぱりで、ライブの動員数も頭打ちだった。
売れないとなると、雑誌での扱いも小さくなる。ルックス重視のバンドには致命傷だった。
そして、二枚目のアルバムが売れないとはっきりとわかった時から、事務所とレコード会社の扱いがはっきりと変わった。
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