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第2章の41
驚いている真樹に、麻也は力なく、
「ホームレスにでもなろうかな、なんてね。」
―そんな…兄貴がんばってたじゃん。最近のライブ、俺こっそり見に行ってたんだぜ。
「…」
―父さんも母さんも心配してる。だから兄貴、こっちに帰ってこいよ。
「…でも…いいの…? 」
―兄貴、今、髪黒いだろ?
「そういう問題? 」
久しぶりに二人で笑った。
―いつ迎えに行こうか。俺、今クルマあるからさ。機材車だけど。もし何なら同居人さんも送れるし。
「へえ、免許取ったんだ。」
―うん。バンドのためにね。
「バンドうまくいってるんだ。」
―っていうか、大学で新しく組んだの。でもギターが弱くてさ…
「サポートで俺、入ろうか。」
―本当? 入ってー。ギャラは出ないけどね…
そんな軽口を叩いてから、次の日の昼2時に迎えに来てもらうことになった。
麻也も少し明るい気分になった。
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