973 / 1053
第18章の13(←諒とライブキスを練習の麻也王子)
「うん。あっちは何でも遅いから…
それに本人も何かと仕上がりが遅いんだって。
顔でもいじってるのかもしれないね…」
思わず口をついて出た言葉の意地悪さに、麻也は自分でも驚いたが
諒もいつにない驚き方だった。
その一方で諒はほっとしたような感じで、
「いやいやそんな、100年に一人の美少女なんでしょ。見てないけど。
でも高校生が整形なんてするかなあ。」
「うーん、でもオーラがないんだよねえ…
うちのファンの方が綺麗な子多いと思うけど…」
話しているうちに麻也にはどうでもよく思えてきたので、
「じゃあ諒、始めよっか…」
諒が持ってきた音源で軽く流して、お約束の間奏のキスシーン…
もちろんいつも通りキスだけで諒は終わらせない。
長々とした前段からそれは始まるのだ…
麻也のシャツに手を突っ込むわ、
ひざまずいてマイクを麻也の脚の間、その位置とおぼしきところに、
ギターごしに立てたように見せ…
舌を出して舐めあげる仕草…
見つめ合う二人…
身内ばかりとはいえ、<家で練習してほしいなあ>、
というような数名のスタッフの視線を感じつつも、
麻也は諒と二人鏡に向かい、客席からどう見えるかを確認する。
「…麻也さん、ここでいったん俺から離れて、いいとこで腕大きくあげて客席見て…
そう、そんな感じで…うん、いつも以上にしなやかで綺麗だよ…」
ともだちにシェアしよう!