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第18章の13(←諒とライブキスを練習の麻也王子)

「うん。あっちは何でも遅いから… それに本人も何かと仕上がりが遅いんだって。 顔でもいじってるのかもしれないね…」 思わず口をついて出た言葉の意地悪さに、麻也は自分でも驚いたが 諒もいつにない驚き方だった。 その一方で諒はほっとしたような感じで、 「いやいやそんな、100年に一人の美少女なんでしょ。見てないけど。 でも高校生が整形なんてするかなあ。」 「うーん、でもオーラがないんだよねえ… うちのファンの方が綺麗な子多いと思うけど…」 話しているうちに麻也にはどうでもよく思えてきたので、 「じゃあ諒、始めよっか…」 諒が持ってきた音源で軽く流して、お約束の間奏のキスシーン… もちろんいつも通りキスだけで諒は終わらせない。 長々とした前段からそれは始まるのだ… 麻也のシャツに手を突っ込むわ、 ひざまずいてマイクを麻也の脚の間、その位置とおぼしきところに、 ギターごしに立てたように見せ… 舌を出して舐めあげる仕草… 見つめ合う二人…  身内ばかりとはいえ、<家で練習してほしいなあ>、 というような数名のスタッフの視線を感じつつも、 麻也は諒と二人鏡に向かい、客席からどう見えるかを確認する。 「…麻也さん、ここでいったん俺から離れて、いいとこで腕大きくあげて客席見て… そう、そんな感じで…うん、いつも以上にしなやかで綺麗だよ…」

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