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第3章の2
と、今日は少し頭の調子が良かったので、自分の部屋の窓際で、暖かな陽を浴びながら、
愛用のレスポールのギターを、アンプを通さず弾いてみた。
中学で好きになったデビッド・ボウイの曲。
コピーバンドでコピーした邦楽の曲…
迷った時は原点に帰ろうと思ったのだ。
すると、大学から帰ってきた真樹がひょっこりと顏を出してきた。
そしてほっとした表情を見せた。
「おかえり。早かったね。」
「曲作んなきゃいけなかったから、サボってきた。」
「だめじゃん。」
と言ってから、自分には言う資格はなかったと気づく。
すると、それに付け込むように真樹は近づいてきた。
手にはチケットが握られていた。
「兄貴、今度俺たちのライブがあるんだけど、どう? 」
手渡されたチケットは4枚。
バンド名は4つ書いてあり、その中の「ディスティニー」というのが真樹たちのバンドだった。
「まあ、退屈しのぎにはなるかと思うよ。すごいバンドも出るしさ。よかったら、恭一さんとかお友達とどうぞ。」
「チケット代払うよ。」
「いらないよ。これはバンドからの招待。」
「ありがとう。他のみんなにもよろしく言ってね。」
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