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第3章の4
その時、後ろから肩を叩かれた。
振り返ると、なかなか可愛い、いかにもバンドが好きそうなケバい女の子の二人連れだった。
「『セクシュアル』のMA-YAさんですよね? 」
本来ならば否定したいところだが、麻也は、「これは使える!」と思った。
「そうだけど。」
「いやーん。握手して下さい。」
どうにか、苦手を抑えて握手しながら麻也は、
「ライブに来たの? チケットある? 」
「これから買うんです。完売しないか心配。」
「それならこれあげるよ。」
と、麻也は真樹にもらったチケットを差し出した。
「えー、いいんですか? お金は? 」
「招待された分だからいらないよ。」
「さすがだわー。ありがとうございます。」
彼女たちがチケットを手にしたところで、麻也はまたどうにか両手で二人の肩を抱き、
列の最後尾に向かって歩き始めた。
「いやーん、MA-YAったら積極的~。」
「あっという間に食われちゃうかも~。」
彼女たちの言葉に麻也は安心していた。
これなら男と無理やり関係させられたようには見えないだろう…
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