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第3章の6
その後、トリのバンドは、ありがちなビジュアル系で、麻也は退屈を感じた。
が、女二人がその場を離れないので、仕方なくつきあった。
ようやくライブが終わると、二人を促して、麻也は楽屋へ向かった。
懐かしい、雑然とした楽屋に入ると、すぐに、パンクな感じで黒髪を立てた真樹の姿が目に入った。
ストレートロングの黒髪のドラマーと…あの、鋭い目をしたボーカルのリョウが、壊れかけたソファに座っていた。
三人ともライブは終わったのに、表情は硬かった。
疲れて機嫌が悪いのか、真樹は麻也を見るなり、
「兄貴、恭一さんは? 」
女二人を従えた姿を見せたのはマズかったかな、と思いながら麻也は、
「恭一は仕事だって言ったじゃん。」
「ギターも持ってきてねえし…」
その言葉で麻也はカチンときた。
「いいじゃん、こうして美人二人…」
ドラムとボーカルも、いつしか姿勢を正したまま、当惑している雰囲気が伝わってくる。
これでは弟も立場がないだろう…と強く思い始めた麻也は、女二人に、
この店の並びのハンバーガーショップで待っていてほしい、と言ってみた。
2人は納得し、楽屋を出ていく。
「それじゃあMA-YA、後でねー。」
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