67 / 1053

第3章の6

 その後、トリのバンドは、ありがちなビジュアル系で、麻也は退屈を感じた。  が、女二人がその場を離れないので、仕方なくつきあった。  ようやくライブが終わると、二人を促して、麻也は楽屋へ向かった。  懐かしい、雑然とした楽屋に入ると、すぐに、パンクな感じで黒髪を立てた真樹の姿が目に入った。 ストレートロングの黒髪のドラマーと…あの、鋭い目をしたボーカルのリョウが、壊れかけたソファに座っていた。 三人ともライブは終わったのに、表情は硬かった。  疲れて機嫌が悪いのか、真樹は麻也を見るなり、 「兄貴、恭一さんは? 」 女二人を従えた姿を見せたのはマズかったかな、と思いながら麻也は、 「恭一は仕事だって言ったじゃん。」 「ギターも持ってきてねえし…」 その言葉で麻也はカチンときた。 「いいじゃん、こうして美人二人…」 ドラムとボーカルも、いつしか姿勢を正したまま、当惑している雰囲気が伝わってくる。 これでは弟も立場がないだろう…と強く思い始めた麻也は、女二人に、 この店の並びのハンバーガーショップで待っていてほしい、と言ってみた。 2人は納得し、楽屋を出ていく。 「それじゃあMA-YA、後でねー。」

ともだちにシェアしよう!