69 / 1053
第3章の8
すると真樹は、
「いや、兄貴の三枚目のアルバムは好評だったよ。」
すると諒が、
「でも、生の音、聴いてみたいです…」
と言い出し、直人も激しくうなずいている。
「それじゃあ、兄貴、みんなで豊田さんのとこに行くべ。
あそこでギター貸してもらって合わせてみよう。」
豊田さんのとこ、というのは、この近くの貸しスタジオのことである。
本当にいいの? というムードが諒と直人から漂ってくる。元プロでしょ、と。
しかし、真樹がすぐにメークを落とし始めたので、他の2人も麻也の気が変わらないうちにと、あたふたと帰り支度を始める。
自分より結構背の高い諒がおろおろしているが何だかおかしくて、
思わず麻也は吹き出してしまった。が、
「はい? 」
と、そのハングリーな目力でにらまれた。
生意気なヤツだと思ったが、何だか好感が持てる気がした…
ともだちにシェアしよう!