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第3章の13

 そこで我に返った真樹がまた話を元に戻す。 「まずは兄貴に曲覚えてもらわないとなあ…ライブは再来週なんだけど、1週間前には合わせておかなきゃいけないし…兄貴、できる? 」 「覚えて弾くのは大丈夫だけど…新入りがどれほど息を合わせられるのか、っていうのが問題だよね…でも頑張るよ。」 よろしくお願いします、と四人は頭を下げあった。  最後に今後のライブのスケジュールと練習のスケジュールを確認して、打ち合わせは終了だった。  店を出る時、麻也は諒に声をかけた。 「チョコシェイク、ありがとうね。」 すると、諒の顏は真っ赤に染まった。麻也がびっくりしたほどに。 そしてなんとなくうろたえていた。  帰りは真樹が運転する例の機材車で、みんな一緒に帰った。  疲れたのか、後部座席では、諒はあいづち程度にしか話さず、直人ばかりが気をつかってしゃべっていた。  地元で直人が先に降りてしまうと、車の中はほぼ沈黙だった。  寮の家の前に着くと、おつかれでした、と一言だけ残して、長い手足の諒は降りていった。 「アイツ、珍しいな。振り返りもせず家に入っちゃうなんて。」 「そうなの? 」 「うん。いっつも俺をねぎらうように面白い顏とかしてくれるんだけど…」 自分がいたのがいけないのかな、と麻也は何となく寂しくなった。 が、気づかない真樹は、 「そういえば、アイツの目、緑色なのに気づいた? 」 「いや…日本人離れした顔立ちとは思ったけど…」 「ひいおばあちゃんがイギリスとのハーフなんだって。」 ちょっと遠い気もするが… 「へえ、でも目の色に特徴あるなんて、デビッド・ボウイみたいでかっこいいじゃん。」

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