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第3章の14

 そこで、ふと麻也は言いにくいことを思い出してしまった。 「あのさ、真樹…」 「何? 」 「俺といるとメジャーに行けないかもしれないよ。」 すると真樹は前を向いたまま、 「その話、俺も考えてみたけど、それを兄貴に言ったオッサンって、 そんなに権力あるの? 」 「グループそのものはデカいけど…」 「日本中のレコード会社や事務所が所属してるわけじゃないじゃん。」 「そりゃそうだけど…」 「そんなもん、兄貴のギターで制圧しちゃえよ、って、俺たちもがんばるけどさあ。」 そして麻也に向かってにこっと笑うと、 「動員をもっと増やせばいいんだろ? 兄貴が来たなら簡単じゃん。」  その言葉に麻也はどれほど励まされたかわからなかった。 (この章終わり)

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