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第4章<悪魔のキス契約>その1
「みなさんも気づいてると思いますが、正式に新メンバーが入りました!
ギターの麻也! 」
麻也加入後、初のライブ。
観客のどよめきを聞きながらも、諒のMCに応えてギターをかき鳴らし、
自信満々の笑顔で麻也はギターのネックをあげてポーズをキメる。
プロだった人がここで…?
驚きの空気の中で、でも、あちこちからMA-YA!と声がかかる。
すると諒がわざと冷静に、
「MA-YAではありません。麻也です。このヒト、ステージネームを変えちゃったんです。」
笑いの中、ギターをもうひと鳴らし。今度は、麻也ちゃーん!という声があがり、麻也はガッツポーズでそれに応える。
「そして、バンド名も長ったらしくなりました。ディスティニー・アンダーグラウンドです、よろしくっ! 」
麻也にとっては久しぶりのライブ、久しぶりのスポットライトだった。
狭いステージを動き回り、目いっぱい客をあおる。
バランスが多少くずれても遠慮はしない。
他のメンバーにも、これまで以上にやってほしいと思うから…
結果、ギターばかりが目立つようになってしまったが、
観客にはインパクトがあったようで、
口々に、
「プロみたい…」
「麻也かっこいい。」
「麻也ちゃんかわいい。」
「メジャーに行っちゃうんじゃないの…」
などと言いながら帰っていく。
店長からは、やっぱりギター以外はまだまだ…とダメ出しをくらってしまったが。
しかしこの店長には、楽屋入りの時のあいさつで、
「もと『セクシュアル』のギターでしょう? リベンジだね? 頑張って。」
と麻也は言われていた。
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