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第4章の3

「ギターのおかげで音が安定してすごく良くなった。」 「兄貴のあおりで、客席がエラく盛り上がってた。」 2人が客観的だったのに対して、諒は、 「フロントマンとしての力量不足を痛切に感じました。」 「それを言ったら、俺たちもそうだけどよお…」 細かなことを指摘しようと思っていた麻也だったが、 諒の様子があまりに深刻なので言えなくなってしまった。 が、なんとか、 「うーん、確かにフロントとして諒と俺はまだ息が合ってないかもしれないね。 でもそれは場数を踏んでいくうちに何とかなると思うんだ。 ただ、俺は今日みたいな動きをやめる気はないよ。 もっともっと客席をひっかきまわさないと、動員は伸びないと思うから。」  みんな神妙に聞いている。 「あ、みんな飲もうよ。あとは食べながら話そうよ。」 「じゃあまず乾杯しよう。今日のライブの成功と、兄貴の加入を祝って、乾杯! 」 みんなでガチャン、とウーロン茶のジョッキをぶつけ合った。

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