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第4章の8

「あー、酸欠! 」 「客、多過ぎ! 」  ひとつ前のバンドのメンバーが口々にそう言いながら楽屋に戻ってくる。  でも、そんなに客が入っているなんてありがたい… と麻也は他のメンバーとステージに上がっていったのだが… 確かに暑い…苦しいかも…  しかし、暗がりでのセッティングの中でも、 「麻也ちゃーん! 」 「麻也さーん! 」 自分を呼んでくれる声は、諒を呼ぶそれ以上に増して多く…  そして…  スポットライトがつく。 「ワン、ツー! 」 カウント、そしてサウンドが、空気を切り裂く。 「キャーッ!」 客席は押すな押すなの大盛況だった。 前の方は、手をあげてメンバーを求める客が多かったが、 今にも倒れそうな客も多かった。

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