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第4章の12

 次の日の夜、真樹は驚くような電話を受けていた。  ライブハウスの店長からで、とあるレコード会社のスカウトマンが話をしたがっているというのである。 「兄貴、電話替わって。」 しっかり者の弟が、おっとりした自分を頼ってくるのは緊急事態だ。 「俺じゃだめだよ。」 「いいから。経験者だろ。」 でも…と麻也がためらうと、あーもういいっ!と真樹は電話で再び話し始めた。 「ドメスティカレコードって最近できた会社なんだって。 で、インディーズ部門でどうかって、今度俺らのライブ見に来るんだって。」 「良かったじゃん。」 「あ、そういえば今度のライブ、俺たちワンマンだって。」 「ちょっ、そっちの方が大変じゃん! 」 「でも、2週間先だよ。」 「そういう問題じゃなくて! 」 嬉しくもまた、バンドのこれまでの曲をこなすので、麻也は大忙しになった…

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