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第4章の13
「12曲も一気にやるのって大変だなあ…ペース配分が難しい…」
スタジオで真樹はふと、そうもらす。
が、麻也はすましたもので、
「プロになったら20曲近くやるんだよ。はい、練習練習。」
その間にも、諒は長い手をふわふわと動かし、イメージトレーニングをやっている。
「じゃあもう一回合わせるから、諒と兄貴は注意してやってね! 」
そして始めるのは例の曲…麻也と諒が一本のマイクで歌う曲だった。
肝心の、二人の息が合わない。
頬を寄せて、なのに、諒がちらちらと麻也を見過ぎてしまうので、
客席からは不本意に見えるとみんなは思う。
「ちょっ、諒、ダメだわ。」
「じゃあ兄貴、もうここばかりやってる時間ないから、
当日はまた兄貴のアドリブでガーッといって。諒はフツーに歌ってるだけでいいから。」
いつもなら何か言い返しそうな諒は、なぜか黙ってうなずくだけだった。
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