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第4章の14

 当日はみんなに麻也が、 「今日はいつも通りやればいいから。 とにかく楽しんで。 チャンスは一回だけじゃないから。」 そして4人で円陣を組んだ…  SEの中ステージに上がっていく。 「麻也―っ! 」 「諒くーん! 」  暗い中、セッティングをしている間も歓声がすごい。  今日の客はこれまでで一番熱いと麻也は思った。  直人のカウント。  華やかな一曲目が始まる…  客の入りは9割といったところだろうか。  どこでスカウトマンがみているかわからないが、麻也は精一杯、弾きながらポージングをキメる。 今日の諒は動きも大きくて調子もよさそうだ…    麻也が作った曲も、他の曲になじんでいた…  リハーサルでは遠い道のりに思えた12曲だったが、いよいよ例の曲で最後だった。  定位置に戻って、それから諒の脇に寄って…  諒は本番に強い。  二人は無事密着して、それどころか、諒は麻也の肩まで抱いて、力強く歌ってくれた。  アンコールが初めてかかったが、用意をしていなかったので、やむなく一曲目をもう一度演奏した。

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