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第4章の16

 打ち上げではその話で持ちきりになったが…  立ち消えにでもなったらどうしよう…と麻也は密かに心配していた。 この世界ではよくある話だったからだ。  しかし、次の日の午後には電話があった。 ―スタジオが空いてるのが日曜しかないんで、次の日曜に来てくれるかな?  言われるがまま、麻也たち4人は、機材車を飛ばし、都心の撮影スタジオへと向かった。  スタジオに入ると、アーティストが専門だというカメラマンと、本田が待っていた。  別室でステージ衣装に着替え、メークを済ませてスタジオに戻るとカメラマンが、 「おっ、いいねえ。プロみたいだねえ。」 などと言う。メンバーが照れて笑うと、本田はぱしっと彼の腕を叩き、 「左端の彼はプロだってば。」 「ああ、なるほど。」 と、カメラマンは麻也に目を留めた。  わずか1時間ほどの撮影だったが、諒がふてぶてしい表情でカメラをにらみ、 他のメンバーはカメラ目線、という写真でいくことになった。  ポスターが出来るのは約1週間後。  卒業ライブにようやく間に合う状態で、その2週間後が新しいところでのライブだった。  宣伝効果がどれだけあるか、不安なところではある。

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