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第4章の19
これまで出たライブハウスやリハーサルスタジオにも貼ってもらったが、
まだまだポスターは余っていた。
「ロック同好会の部室に二枚貼った。」
「大学の掲示板に一枚貼らせてもらった。」
「直人、和菓子屋に貼るなよ…夏祭りの歌謡ショーじゃねえんだから。」
「貼らないよりマシだろ! 」
「あ、楽器屋とCD屋で交渉してないところがある…」
そんな報告を受けていた麻也は、思い切って言ってみた。
「俺、大学に戻ろうかなあ。」
「今、何でその話? 」
「そしたら三枚くらいはハケるじゃん。」
「そのためだけに?! 馬鹿じゃねーの!? 」
みんなに大笑いされてしまった…
卒業ライブでは、客が満杯になっていた。
確かに、育ってきているこのバンドにはこのライブハウスは狭くなってきていると、
麻也は思った。
MCで、諒がこのライブハウスからの卒業を告げると、客席からも大歓声だった。
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