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第4章の22
「でも、ライブハウスからは次のライブもらったんだし。
ここまで来たら、どこからも目をつけられやすいからコツコツやろうよ。
今までが順調過ぎたんだよ。」
「でもっ、俺はっ…」
諒が語気を荒げた。
「麻也さんがウチのバンドにはいるのに、失敗したってのも悔しい。
次の動員だって心配になるし…」
諒の言葉が嬉しい反面、確かに動員を考えると痛い。
すると直人がムードを変えるように、ズルそうな目をして、みんなにささやき始めた。
「…実は、動員を増やす悪魔の魔法ってのを発見したんだぜえ…なっ、真樹? 」
「えっ? ああ、あれのこと? 」
「何、教えて。」
諒が食いつく。麻也はちょっと嫌な予感がして、口をつぐむ。
あのいまわしいことが思い出されて…
「そんなに知りたい? 」
「知りたい! 」
「あ…でも、真樹から言ってよ。」
「何? 兄貴に遠慮してるわけ? 」
直人は必死でうなずく。
「何だよ、それ…」
さすがに麻也も苦笑すると、真樹がようやく語りだした。
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