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第4章の23

 人気急上昇中のとあるバンドのライブを、麻也が入る前に二人でイベントで見たのだという。 「女のファンが大半だったみたいなんだけど、 とあるシーンで悲鳴や歓声がすごいのなんのって…」 真樹は面白おかしく語っているが、麻也にはやっぱり嫌な予感がしてしまう。 諒は、それでそれで、と続きをせがむ。 「はっきり言いましょう。そのシーンとは、メンバー同士の激しい『カラみ』です! 」 「はい? 」 やっぱり…諒はがっかりしていた。 「そんなの麻也さんと俺だってやってるじゃん。」 「あんなもんじゃない。あれは淡白過ぎ。」 すると直人が、 「だからウチはもっとその上を行きましょう! 」 「その上って、何?! 」 「はっきり言って、『カラみ』プラス『チュー』です! 」 麻也は吹き出した。 「そんなので動員変わるわけないじゃん、ねえ、諒? 」 そう言って諒を見ると、諒は顔面蒼白で言葉を失っていた。

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