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第4章の24

しかし、それには構わず、真樹は続ける。 いや、そのバンドはカラみ以来売れ出して、メジャーに行ったって話なんだよ。」 「都市伝説なんじゃないの? 」 「信じるかどうかは自由だよ。 でも実際、ウチでも二人が寄り添うだけでもキャーキャーすごいじゃん。 俺は更なる実験をしたいと思ってるよ。」 「じゃあお前らやれよっ。」 「俺たちだと男っぽくて、ハードゲイになっちまうんだよっ! 」 「それに俺はドラムだからできないし…だから美少年組のお二人にやっていただけないかと…」 「グラムロックの本家、デビッド・ボウイとギターのミック・ロンソンだって、 激しくカラんでたじゃん。」 「うーん…」 するとそこで、諒が目を伏せたまま、こう言い出した。 「麻也さん、俺とのチューは、気持ち悪いですか? 」 すると、どうしてか、それを聞いた途端、麻也は動員のことを一瞬忘れ、 目の前のこの青年を傷つけたくないという思いでいっぱいになってしまったのだ。 いいとか悪いとかの判断は吹っ飛んでいた。 「…いや、諒がやるっていうなら、俺も受けて立つよ。」 すると諒は冗談ぽく笑い、 「やりましょう、麻也さん。」 と言って、ふざけた調子で握手を求めてきたのである。 麻也も、思わず両手で、諒の美しい手を握り返してしまった… 諒の手にこんなにがっちり触れられる自分に内心驚きながら。 「すべては動員のため。悪いけどがんばってよ。」 そう言った真樹は、あっ、と思い出したように付け加えた。 「あ、でも、ゲーノー人みたいに本当に引っ付いちゃうのはナシね。 バンド内恋愛禁止。」 そういって笑う真樹と直人の声は遠くに聞こえた。 諒は口元では笑みを作っていたが、目は決して笑っていないのが、 麻也の視界に入った。

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