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第4章の27

 外に出ると、前回よりさらに増えた出待ちの子たちがいた。 「諒クンと麻也さん、つきあってるみたい! 」 一人の子が叫ぶと、それに向かって諒が、 「つきあってるよー。ほらっ! 」 と、急いで麻也の手を握ると、それを高々とあげたのだ。  キャー! という歓声に送られ、手をつないだまま諒と麻也は、リズム隊の後ろを歩き始めた。 麻也はドキドキしてしまい、諒のなすがままになっていた。 諒もなぜか手を離さない。が、機材車を停めてある駐車場が近づいてくると真樹が振り返り、 「ちょっとぉ、もう見てる子はいないよ。」 「逆に、誰が見てるかわかんないじゃん。」 諒が言い返すと、 「だから、手、離せよ。」 と真樹も言い返す。すると、 「残念! 」 と言って、諒は手を離した。 麻也はまだドキドキしていて、機材車に乗ることがためらわれた。

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