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第4章の28
あれ以来、何かが吹っ切れたのか、はたまた魔法という武器が増えたからなのか、
諒の調子がいい。
客席へのアプローチも、ますます上手くなってきたし、声にも説得力が増してきた。
動きのキレもいい。
そして、念入りなリハーサルと本番で磨かれるキス…
長身で鋭い美貌の諒と、中性的な美貌で華奢な麻也のカラみは女の子の人気の的で、
フラッシュの雨は半端ではなかった。
まさかプロのようにカメラ禁止にはできないし、とメンバーも悩むほどだった。
「麻也ちゃんのプロらしさに最初は圧倒されてるだけだったけど…」
「今じゃ似合いのカップルだよねえ、麻也ちゃんと諒クンは。」
客席がそう騒ぐほど、諒が伸びてきていることを、麻也も感じずにはいられなかった。
そして観客動員も伸びていた。
「いひひ、悪魔の魔法、効いたみたいだね。」
真樹と直人は喜んでいたが、回を重ねるにつれ、人知れず麻也には悩みが増えてきていた。
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