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第4章の37

 この頃くらいから、麻也は「雑誌の写真とライブにギャップがある。だから好き」などという手紙ももらうようになっていた。  ギャップというのは、「写真だと物憂げな瞳の王子様」なのに、「ライブではものすごく激しい王子様」であるという意味らしかった。  今日のステージでも、麻也は諒の前にひざまずき、激しくギターを弾き続ける。 その前に立ちはだかった諒が、投げやりな風で、麻也の前にマイクを突きだす。 うっとりした表情の麻也は、うやうやしくそのマイクに何事かささやく。 そうして、両手で顔を包み込まれながら、ごほうびのように諒のキスをもらう。  麻也が立ち上がり、定位置に戻ったところで、諒がメンバー紹介を始める。 「メンバー紹介します。ギター、俺の恋人、ギターの麻也! 」 すると麻也は、客席を挑発する表情で、一層激しいギターソロを弾き始めた… (この章終わり)

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