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第5章の2
そんなころ、ようやく、久しぶりに、ライブ終わりに本田が現れた。
4人は胸をなでおろしたが、彼が持ってきた話は想像を超えていた。
「社内で話し合った結果はねえ、インディーズじゃなくて、
いきなりメジャーデビューでいいんじゃないかってことで…」
「えっ? 」
「あさって、ウチの方に来れる? そしたらじっくり話ができるんだけど。」
4人はただただ驚くばかりで声も出ない。ようやく麻也が、
「行きます。何時ですか? 」
「朝、10時くらいだと助かるんだけどねえ…」
「絶対行きます。な、みんな…」
と、麻也が振り返ると、諒が真樹の肩にしがみついて涙を流していた。
それを、喜びをかみ殺しているような真樹がなだめていた。
直人がやっと、
「もちろん全員で行きます。」
と答えた。
本田が帰ってしまっても、諒の涙は止まらなかった。タオルで何度拭ってもダメだった。
「諒、好きなだけ泣け。俺が受け止めてやるから…」
「う、うん…」
あらためて麻也は諒の重圧を知った気がした。
無事育ってくれたから良かったようなものの、果たして自分は先輩としてのケアを充分してきただろうか、と後悔する。
が、諒の手前、恥ずかしくて話を変えた。
「明日はどうするの? 現地集合? 」
「まさか! お兄様についてゆきます! 」
真樹がふざけた調子で答えると、涙を拭いながら諒も笑った。
「麻也さんが頼りなんで、いつも通りの移動でお願いしますよ。」
直人が言うと、笑顔で諒も、賛成、と言った。
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