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第5章の9
メジャーデビューが決まったことで、みんなの目の輝きが変わった。
自信がついたということなのだろう。
でもこれはゴールではなくてスタートなんだけどな…と諒に教えなければと思う。
まだ諒に教えられることがあるんだ…となぜか麻也は嬉しくなる。
「そういや、悪魔の魔法、本当に効いたね。」
荷物を動かしながら真樹は言う。が、麻也は、
「うん。でもメジャーにきたらあれは封印だね。」
「えっ? 何で? 広いとこの方がバリエーションもあるじゃん。」
思わず麻也は吹き出してしまう。が、しかし、
「まあ、諒との相談次第だね。」
諒だってもうあんなことはやりたくないと思うかもしれないし…
この前のバンドのミーティングでは契約の話しかできなかったし…
なかなか会えない諒のことがすごく気になっている自分がいることに、
麻也は驚いていた。
ようやくみんなの引っ越し作業が終わると、それぞれの部屋を見に行った。
他の3人の部屋が、比較的ごみごみしたところにあったのに対し、
諒の部屋の周りは緑が多く、ちょっとした遊歩道のある公園さえあったので、
みんなで散歩した。
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