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第5章の10
「いいなあ、ここならバンバン曲が書けそう。」
真樹はそう言ったが、次には声のトーンを落とし、
「実は俺の曲、デビューアルバムには入らないんだよね。」
などと言い出す。初耳だった3人は、驚いて真樹を見た。
「諒の曲がメインになるから、イメージに合わないんだって。
兄貴の曲はいいんだけど。
でも、書きためておけ、って、昨日木内さんに電話もらったんだ。」
木内と言うのは、今回のレコーディングのプロデューサーだった。
ちょっと複雑な空気が流れたが、どうにか麻也が、
「そうだね。俺たちも曲は書きためておかないとね、諒。」
すると諒は虚を突かれたようで、あわてて笑顔を作ったように麻也には思えた。。
「そういや、諒、清算作業は終わったの? 」
しかし直人がからかい気味に尋ねると、今度は余裕で、
「終わったよ。もう、きれいなもんよ。」
などと大声で、麻也や真樹にも聞かせるように答えていた。
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