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第5章の12
「麻也さん、俺、ずっと麻也さんのこと、好きでたまりませんでした。
こんなに人を好きになったのは初めてかもしれない。
絶対に大切にしますから、麻也さんの恋人のリストの、
最後でもかまわないから、入れてもらえないでしょうか…」
麻也は言葉を失い続けた。なぜなら…拒絶だけでは違うという気が、
どこかでしていたからだった。
しかし、常識的に、
「ちょっと待って。俺は男だよ。」
「知ってます。俺も最初は悩みました。」
「あ、悪魔の魔法のせいで、何かヘンな気分になってるだけなんじゃない? 」
「違います。あれが導入…された時は嬉しかったけど、
麻也さんに嫌われないようにと思って、本心を隠すのが大変で…地獄だった…
それに俺、上品で綺麗な麻也さんには、その、あの、ライブハウスの楽屋で一目ぼれだったし…雑誌の写真よりずっと素敵で…」
やんちゃが可愛い、それでいてあまりに美しい諒に、
ここまで言われるのに悪い気はしない…
麻也もそんな自分に内心驚くような驚かないような…
しかし…
「でもさ、諒はもともと両刀なんでしょ? ってことは、今、彼氏とかいないの? 」
「うーん、主義としては恋愛に性別は関係ないと思ってるけど、
彼氏って持ったことないっていうか、
男で好きになったのは麻也さんが初めて…」
「えっ、そうなの? 」
「そう。だから俺はファーストキスを麻也さんに捧げることが出来て嬉しかった…
でも、真樹たちにも本気ってバレたくなかったから、すごくつらかった…」
…麻也にも、何だか胸に迫るものが…
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