125 / 1053

第5章の12

「麻也さん、俺、ずっと麻也さんのこと、好きでたまりませんでした。 こんなに人を好きになったのは初めてかもしれない。 絶対に大切にしますから、麻也さんの恋人のリストの、 最後でもかまわないから、入れてもらえないでしょうか…」 麻也は言葉を失い続けた。なぜなら…拒絶だけでは違うという気が、 どこかでしていたからだった。 しかし、常識的に、 「ちょっと待って。俺は男だよ。」 「知ってます。俺も最初は悩みました。」 「あ、悪魔の魔法のせいで、何かヘンな気分になってるだけなんじゃない? 」 「違います。あれが導入…された時は嬉しかったけど、 麻也さんに嫌われないようにと思って、本心を隠すのが大変で…地獄だった… それに俺、上品で綺麗な麻也さんには、その、あの、ライブハウスの楽屋で一目ぼれだったし…雑誌の写真よりずっと素敵で…」  やんちゃが可愛い、それでいてあまりに美しい諒に、 ここまで言われるのに悪い気はしない… 麻也もそんな自分に内心驚くような驚かないような…  しかし… 「でもさ、諒はもともと両刀なんでしょ? ってことは、今、彼氏とかいないの? 」 「うーん、主義としては恋愛に性別は関係ないと思ってるけど、 彼氏って持ったことないっていうか、 男で好きになったのは麻也さんが初めて…」 「えっ、そうなの? 」 「そう。だから俺はファーストキスを麻也さんに捧げることが出来て嬉しかった… でも、真樹たちにも本気ってバレたくなかったから、すごくつらかった…」 …麻也にも、何だか胸に迫るものが…

ともだちにシェアしよう!