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第5章の13
嫌悪感のようなものは一切生まれてこない。
それどころか、今までの、諒に対するもやもやしたものがほどけてくるような…
「ずっと、メジャーが決まったら告白するつもりでした。」
あの大泣きにはその意味もあったのか…
「でも、諒の言う『恋人』って、どんな感じ? まさか、いくら何でも…」
すると諒はうつむき、耳まで真っ赤にして、
「…その…もちろん…麻也さんのすべてが欲しいです…」
「…すべてって…」
「その、身も、心も…」
麻也は一瞬言葉を失ったが、こんなにこのことに関して長く話すと期待を諒に持たせてしまって悪いのでは、
と思って、言ってみた。
「あのさ、バンド内は恋愛禁止じゃん。それに、事務所にバレたら、即アウトだと思うよ。
それとも、諒の作品のために俺が協力するとか思った? 」
すると今度は諒の方が固まってしまい、それどころか涙目に…
瞬時に麻也は自責の念にかられた。
「…ごめん、俺…」
「作品のためなんて、考えたことも…ただ、事務所にバレたら、俺が責任取って辞めます。
麻也さんに傷なんかつけさせない。」
最後の言葉にグッときた。だから言ってしまった。
「でも、お前の方こそ、あんなに女いるじゃん。本命だって残すんだろ? 」
その女たちへの嫉妬のようなものが湧き上がってくる…?
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